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コラムColumn

機械式立体駐車場のメンテナンスと費用について解説

マンションやビルに併設して建てられていることの多い立体駐車場。

今回はその中で「機械式」と呼ばれる、昇降タイプの機械式駐車場のメンテナンスに関連して、その費用や期間、そして寿命について解説していきたいと思います。

都市部はもちろんのこと、郊外でも見かけることの多い機械式立体駐車場ですが、その名が「機械式」というだけあり、しっかりとしたメンテナンスが必要な施設です。

今回の記事を通して、メンテナンスの重要性や機械式駐車場について知識を深めていただけたらと思います。

目次

機械式立体駐車場の寿命はどのくらい?

立体駐車場は敷地面積が限られている場所において、限られたスペースを有効活用するための重要な駐車手段となっています。


その中でも、機械式駐車場は昇降機能を駆使して車を階層的に収容することで、より多くの車両を収容することが可能な施設です。


しかし、この機械式駐車場も時間とともに経年劣化が進行し、古さが目立ったり、故障などのトラブルを引き起こすようにもなります。


 


まず、機械式駐車場の「法廷耐用年数」は15年と定められています。


「法廷耐用年数」と聞くと、それ以上は使えないのかと思われることもあるかもしれませんがそうではありません。


「法廷耐用年数」とはあくまでも減価償却費を算出するための指標のため、実際の構造の寿命というわけではありません。


 


ただ、機械式駐車場の寿命は建設時の品質や設備の保守状態によってその長さが違ってくるのも事実です。


駐車場がある場所の気候や環境にもよりますが、一般的には、約20年から30年程度使用できるとされていますが、これは適切なタイミングでメンテナンスが行われ、必要に応じて修繕や更新が行われた場合です。


 


年数が経つにつれ、部材の劣化や機械の故障などが頻発し、安全性や機能性に問題が生じる可能性が高まります。


そのため、建物の運用寿命を延ばすには定期的な点検や保守作業が欠かせません。


次の章では、機械式駐車場の寿命を延ばすための効果的なメンテナンス手法について掘り下げていきます。


メンテナンスについて タイミングとメンテナンスの中身をご紹介

まず、機械式駐車場には、エレベーターのように法的に定められた点検の義務があるのかどうか、気になっている方も多いと思いますが、明確にはありません。


 


しかしながら、国土交通省において「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」や、「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」によって、管理者(※1)の責任において取り組まなければならない内容が策定されています。


(引用:国土交通省)


 


※1「管理者」とは、例えばマンションの場合は管理組合が該当し、一般的には管理会社に委託されていることも多いと思います。


 


そしてメンテナンスのタイミングとしては、上記国土交通省の「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」において


 


装置の安全確保のための維持保全を行うこと。

装置が正常で安全な状態を維持できるよう、機種、使用頻度等に応じて、1~3ヶ月以内に1度を目安として、専門技術者による点検を受け、必要な措置を講じること。


 


と記されています。


 


実際には各メーカーや機種によって、メンテナンスを推奨するタイミングが異なりますので、使用頻度等を鑑みて検討していきましょう。


 


~メンテナンスの中身~


点検する箇所は4つの内容に大きく分けると、


基本的な内容としては、パレットを動かすためのモーター、そしてパレットの位置を検知するセンサー、人を検知するセンサーが正常に作動するかどうか、制御部品に破損や劣化がないかといった点をチェックしながら、劣化状態に応じて部品の交換や修繕を行います。


メンテナンスの費用目安について

~定期メンテナンスの費用目安~


定期メンテナンス(保守点検)の費用目安は、1台あたり月額3,000円~5,000円程度となることが多いようです。


機械式駐車場については先ほどの目次でもお伝えした通り、法定点検ではありませんが、利用者の安心・安全に関わる部分であり、使用頻度に応じた定期的なメンテナンスの実施が求められています。


 


例えば3ヶ月に1回定期点検を行う場合、年間では4回ほどになりますので、12,000円~20,000程度


(1台につき)×パレットの台数でおおよその費用を算出することができます。


そして実際には、必要に応じて行った部品の交換代などが別途必要となります。


 


なおメンテナンスを行う場合は、製造メーカーによるメーカー系のメンテナンスと、あらゆるメーカーに対応できる独立したメンテナンス業者のいずれかに依頼をすることになるかと思います。


その際の費用としては、後者(独立したメンテナンス業者)の方が比較的安価な傾向がありますが、緊急時の対応や、部品交換が必要とされる場合の個別の見積等、さまざまな要素によっても長年の維持にかかる費用が異なってきますので、前もって、その会社が対応可能な保守範囲と、メンテナンスの中身、そして今後想定される対応に対する費用感を確認し、慎重に検討しておくと安心でしょう。


 


この辺りのメンテナンス・維持費用については、平面駐車場よりも割高な印象がありますが、土地の有効活用というメリットは大きいものがあります。


定期的な保守点検を欠かさずに行うことが、未然のトラブルや予想外の出費を防ぎますので、より長い期間、安心して使用できる環境を整えておくことに注意を払うことが大切だと理解しましょう。


まとめ

いかがでしたでしょうか。


今回ご紹介した機械式駐車場のメンテナンスでご紹介した機械類のメンテナンスに加え、必要に応じた再塗装などを適切なタイミングで行うことが、立体駐車場を長く維持するための秘訣でもあります。


限られた土地を有効的に活用する手段である立体駐車場は、今後もますます需要が高まっていくことも考えられますので、今回のコラムを通して、維持・メンテナンスに関わる情報を知っていただき、更に理解を深めていただけたら幸いです。