リフォームとリノベーションは、両方とも建物や部屋の改修を指す言葉ですが、微妙な違いがあります。

●リフォームとは

リフォームは、古くなった建物の表層や設備を取り換えることで、新築時に近い状態に戻すことを目的とした工事です。基本的に、現状のお部屋や建物が大きく変わることはありません。

工事例）

・壁紙（クロス）の貼り替え

・水回り設備の交換

・外壁の塗り替え

・手すりの取り付けなどのバリアフリー工事

●リノベーションとは

一方、リノベーションは、建物や部屋全体を刷新し、新しいデザインや機能を追加して再生させることを意味します。リノベーションでは、建物の構造やレイアウトを変更することが一般的であり、古い建物を現代的で快適な住空間に生まれ変わらせることが目的です。そのため、リノベーションはより大規模なプロジェクトであり、リフォームよりも工期や費用がかかる傾向があります。

工事例）

・間取りの変更

・水道管や排水管の変更

●リフォームとリノベーションの明確な定義はない⁉

実は、リフォームとリノベーションは、ともに『国で定められた明確な定義』はありません。メディアや、リフォーム会社、リノベーション会社が、それぞれの解釈で使い分けているのが現状です。どちらの言葉で表現しても間違いではなく、住まいに手を加えるときの意図や目的で使い分けられています。

リフォームとリノベーションは費用の面でも差が出ます。リノベーションは建物の構造変更などもあるため、リフォームに比べてかなり高額になっています。さらに、2022年（令和4年）からの建材や設備の高騰で、リフォームやリノベーションの費用も上昇傾向にあります。

●年々上昇のリフォームの費用相場

リフォームの費用相場は、改修箇所によって異なります。国土交通省が公表した「令和4年度　住宅市場動向調査報告書」によれば、リフォーム資金の平均額は206万円でした。

（「令和3年度　住宅市場動向調査報告書」によると、リフォーム資金の平均額は201万円、「令和２年度　 住宅市場動向調査報告書」では、リフォーム資金の平均額は181万円でした。）

【部位別】リフォームの費用相場

部位別リフォームの費用相場は以下の通りです。

・システムバスの交換：50万円～150万円

・壁クロスの貼り替え：6万円～30万円

・システムキッチンの交換：40万～200万円

・外壁塗装：50万円～150万円

・洗面所の改装：20万円～100万円

●リノベーションの費用相場

リノベーションの費用相場は、改修の内容や工事面積で大きく変わります。フルリノベーションの場合、1㎡あたり10万円～20万円程度が相場です。40㎡で400万円～800万円、80㎡なら800万円～1,600万円くらいかかります。同じ面積でもグレードなどによって大きな差があるため、自身が希望するリノベーションがどのぐらいの費用になるか早めに調べておきましょう。

【タイプ別】リノベーションの費用相場

タイプ別リノベーションの費用相場は以下の通りです。

・マンションリノベーション：約600万円～1,000万円(10万円～15万円/㎡)

・戸建てリノベーション：約300万円～2,000万円(30万円～150万円/㎡)

●リフォームローンの利用者も増えつつある

リフォーム検討者に『リフォーム資金が自己資金を超えた場合どのようにして工面するか』を複数回答で調査した結果があります。

第1位：「リフォームローンを利用」30.8％

第2位：「親族から借りる」17.8％

第3位：「退職金を前借りする」2.2％

●自己資金の比率は？

前述の「令和２年度　 住宅市場動向調査報告書」を例にした場合、リフォーム資金の平均額181万円に対し、自己資金が140万円で、自己資金比率77.2％という結果になっています。つまり、リフォーム費用の20％程度を金融機関からの借入でまかなっていることがわかりました。

リフォームとリノベーションはどちらも住宅改修ですが、工事の内容は大きく異なります。「リフォームは老朽化した建物を元の状態に戻すこと」ですが、「リノベーションは既存の状態よりも性能を向上させること」を目的としています。それぞれメリット・デメリットについてご紹介いたします。

●リフォーム

【メリット】

・低コスト

リフォームは老朽化した部分だけを改修するため、工事費用は比較的低く抑えられます。

・工事期間が短い

リフォームは工事が部分的な改修に限られるため、工事期間が短くすみます。

・完成後のイメージがしやすい

リフォームは建物構造を変更せずに現在の間取りをそのまま活用するため、完成後のイメージがしやすくなります。

【デメリット】

・大きな間取りの変更ができない

リフォームは新築時の状態に戻すことが目的のため、設備交換や内装の修繕など表面的な工事が中心となります。

・設計の自由度が低い

リフォームはリノベーションに比べて小規模で部分的な改修のため、設計の自由度は低くなります。

●リノベーション

【メリット】

・設計の自由度が高い

リノベーションは設備の交換だけでなく、配管や間取りなどの変更を含めた工事を行うため、自分のライフスタイルに合う理想どおりの家の設計ができることが最大のメリットです。

・劣化した配管や配線を刷新できる

表層の修繕工事ではチェックすることができない部分まで確認して刷新できるため、インフラ部分の機能・価値向上も可能です。

・資産価値を高められる

築年数の古い建物もリノベーションによって、資産価値の向上が期待できます。

【デメリット】

・費用が高くなりやすい

リフォームよりも大規模な工事になるため、費用が高額になりやすい傾向があります。

・工事期間が長い

表面的な工事だけでなく配管の交換なども行うため、リフォームと比べると工事の規模が大きくなり時間がかかります。

リフォームは部分的な修繕や改修で古さを解消しますが、全体像は変わりません。リノベーションは建物全体を刷新し、新しい魅力を生み出します。費用や工期はかかりますが、より高い満足度が得られます。ご検討中の方は、ぜひお気軽に椎名創建へご相談ください。