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コラムColumn

立体駐車場の寿命はどのくらい? ~維持・メンテナンスについても解説~

面積が限られた土地でも、駐車台数を多く確保できる「立体駐車場」。主に都市部のマンションやビルなどで普及していますが、寿命や維持・メンテナンスに関してはあまり良く知らないという方も多いかもしれません。

そこで今回は、気になる立体駐車場の寿命と、その維持のためのメンテナンスに関する情報をお届けします。

目次

はじめに ~立体駐車場の種類について~ 種類ごとに寿命は違う

駐車場は大きく分けて「平面」と「立体」に分けることができます。


「平面駐車場」は、郊外の住宅街やスーパーなどの敷地で見かける、平地に砂利やアスファルトを敷いた、周りの道路とフラットなタイプの駐車場であり、いわば『土地』です。


 


そしてもう一つが、今回のコラムでご紹介することになる「立体駐車場」と呼ばれるもの。


立体駐車場とは、主に建築物によって複数の階層に車を収容することができるタイプで、平地にそのまま車を駐車するスペースを設けている「平面駐車場」とは異なります。


 


また「立体駐車場」も更に2種類のタイプに分けることができるのですが、その一つが【自走式】で、もう一つが【機械式】です。


 


【自走式】


自走式の立体駐車場は、2階建て以上の複数フロアから構築され、各階の移動はスロープで移動し、自ら車を運転して駐車するタイプです。


 


【機械式】


機械式の立体駐車場は、パレット呼ばれる台に車を乗せ、文字通り機械操作によってパレットを動かし、車を収容するタイプです。


上段・下段で1台ずつ、計2台収容できる小規模のタイプから、タワー式やピット式と呼ばれる多くのパレットを有する規模の大きいタイプまで、土地面積や需要に応じていくつかのタイプから選ぶことができます。


 


今回ご紹介したそれぞれのタイプごとに、その特徴や耐用年数・寿命、また維持のためのメンテナンスの中身が異なるのが事実です。


 


次の目次では、具体的な耐用年数・寿命などについて解説していきます


立体駐車場の耐用年数・寿命はどのぐらい?

目次タイトルにもありますが、「耐用年数」という言葉を見聞きしたことはありませんか?


これは、「法定耐用年数」のことを指しており、自走式と機械式、それぞれタイプによっても法定耐用年数が異なります。


 


<自走式立体駐車場> →38年 ※鉄筋コンクリート造の場合


→31年 ※鉄骨造の場合


<機械式立体駐車場> →15年


 


なお、“法定耐用年数”とは、減価償却期間を表すための数字であり、法定耐用年数が過ぎたからといって、使用してはいけない、取壊さなければいけない、という事ではありません。


 


使用期間中にしっかりと適切なメンテナンスを行っていれば、実際には法定耐用年数以上に使用できることがほとんどであり、上記はあくまで一つの目安でしょう。


 


ただ、自走式立体駐車場に比べて機械式立体駐車場の寿命が短いのは明らかで、おおよそ20~25年程度だと言われています。


 


その理由は、自走式立体駐車場が「建物」であることに対し、機械式駐車場は安全装置や昇降装置といった、機械を使用して動かしている部分にあります。


 


機械式駐車場を20年、25年、もしくはそれ以上に長く安全に使用したい場合は、使用頻度や設置されている環境に応じて適切なタイミングで部品の交換などの修繕を行うことが必要でしょう。


機械式駐車場のメンテナンスについて

目次2をお読みいただいて、「機械式駐車場」のメンテナンスの必要性についてご理解いただけたかと思いますが、実際には機械式駐車場について法的に定められた点検の「義務」はありません。


しかしながら、「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」や、「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」というものが国土交通省によって策定されています。


 


これは、機械式駐車場が人々の暮らしを支える身近な装置として多くの人に日常的に使用されている一方、機械式立体駐車場における利用者等の死亡・重症事故も起きているのが事実だからです。


このため、国土交通省では事故の再発防止を図る観点から機械式立体駐車場に関わる人々に向けて安全確保と安全利用のため上記のガイドラインを作成しているものです。


 


そして実際のメンテナンスは主に、「事故を未然に防ぐため」「美観を維持する」の二つの観点から行われています。


 


<メンテナンスの目安>


機種や仕様頻度に応じて、1~3ヶ月に1回を目安に点検を受けることとされています。


※機能(機械)が複雑なほど、点検周期は短いことが一般的です


 


<定期メンテナンスの中身>


車を乗せる台=パレット、そしてパレットの位置を検知するセンサー、パレットを動かす動力系統などを目視と実際の動作確認によって点検します。


また、必要な箇所にオイルをさしたり、全体の劣化状態の把握を行います。


そのうえで、必要に応じて部品の交換等を実施します。


 


その際、特段費用の掛かる修理が必要な場合には、一旦修繕報告の際に状況を伝えられ、作業の要否やタイミング等を検討するようになるでしょう。


 


また、機械式駐車場のメンテナンスには「POG契約」と「フルメンテナンス契約」という2種類のパターンがあります。


 


■POG契約とは?


POG契約の「POG」は、「Parts」「Oil」「Grease」の頭文字で、部分的な消耗品交換を含む一般的な定期メンテナンスです。


 


■フルメンテナンス契約とは?


フルメンテナンス契約は、POG契約よりも充実した、一般的な定期メンテナンスと修繕費用も含まれている契約タイプで、POG契約に比べコストは掛かりますが、都度の見積やある程度の修繕を見越した内容で契約することができるため、都度、管理組合等に商品を得ることなく作業依頼が可能になるため手間も少なく、より安心できるパターンです。


 


メンテナンスのパターンは、機械式駐車場の利用頻度や利用環境に応じ、適切なタイプを選ぶようにしましょう。


まとめ

「自走式立体駐車場」「機械式駐車場」それぞれに法定耐用年数と実際の寿命があり、メリット・デメリットもそれぞれです。


ただどちらも、適切なメンテナンスを行うことで、長く利用できる環境を維持することは可能ですので、状況に応じて、最適なメンテナンスプランを選択し、安心・安全を手に入れましょう。